2021年 よかったもの
別に今年発表されたやつじゃなくて、個人的に僕が今年見聞きしたものです。
空気階段の踊り場
人気者になった空気階段。そのラジオがラジオクラウドで全部タダで聞けるので、全部聞いた方が良い。一つ一つの企画がおもしろいし、続けて聞いていると無名の芸人が徐々に売れていく感じがわかって、気持ちが良いです。
このラジオを聞いたので、空気階段を応援するようになってしまいました……。あんまり普段何かを応援するって、ないんですが。
オッドタクシー
ネトフリの動物アニメ。いろいろな趣向がこらされた、とても完成度の高いミステリなので、できるだけ前情報ナシで見た方が良いと思います。会話もおしゃれでセンスがいい。こういうストーリーを一つの会社が共同作業で作れるのって、本当にすごいことだと思います。
永遠の酒盛り
女性が一人で日常のことをしゃべっているポッドキャスト。テンションが低くて、なんでポッドキャストをやっているのかが不思議。センスも独特で「お金が憎くて捨てていた」エピソードがかなり強烈でした。
トムブラウンのニッポン放送圧縮計画
芸人のポッドキャスト。おじさんが恋愛の話をしているのがいい。このくらいの年になると、人から恋愛の話を聞くことがなくなるので……。
今夜、すべてのバーで
中島らもの有名な小説だけど、いままで読んだことがなかった。文章が強烈に洗練されていて、数ページ読むだけでもライターとしてはものすごく勉強になります。ライター初心者は文章を写経してもいいくらい。
盤上の敵
北村薫の小説。中学生の時に読んでいたはずなのに、なぜかストーリーを完全に忘れていました。
自分の留守中に、自宅に銃を持った暴漢が入ってきて、妻を人質にとられて立てこもられてしまう。自宅はテレビのワイドショーのカメラが撮影していて、主人公はTVを見ながら事態の収拾を図るというストーリー。ジャンプマンガの頭脳バトルみたいな感じで犯人との駆け引きが進んでいきます。
この本で一番好きなのはタイトルですね。「盤上」と言っているんですが、具体的に将棋やチェスがストーリーにでてくるわけではありません。主人公と暴漢の駆け引きをチェスになぞらえているのですが……。それって、結局どういうことなのか。こういう手法で語られる北村薫の人間観というか、精神がかなり好きです。
影踏み亭の怪談
僕の古い友人である大島清昭による怪談ミステリー。中高生の頃、彼の書いた小説を読んでいたんですが、こういう形に結実したかと思うと、本当に感慨深いです。
物語に通底するいびつなロジックが魅力的。すかされたとか、逃げられたという気持はなくて、不思議な懐かしさのある納得感に包まれます。
通常の我々の認識って、理性的な論理ではなくて、むしろ怪談の論理の方にあるのでは……と思ってしまうような作品でした。