ふしぎブログ

指圧師・ライター斎藤充博の日記

十万円に思いをはせる自動販売機

散歩をしていたら「散歩をしていてよかった!」と心の底から思えるような自動販売機を見つけることができた。

 

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なんとなく全景からも「いい」においが伝わってくると思う。詳細に見てみよう。

 

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まず自販機自体にキャッチコピーがついているのがすごい。

「日本一の格安飲料」「安くて美味しいがトレンディー」……言葉のカラッポぶりはいいとして、全力で自分のところの自動販売機を肯定する姿勢に感動する。

 

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実際に安い。それもそのはず、特価だから。「特価」「特価」「特価」「特価」「特価」……。文字なのに騒音を感じさせるという技術だ。

 

中央のペットボトルには手書きの文字で「良く売れる」と書いてある。このジュースがよく売れなさそうなのがたまらない。文字は丁寧に書かれている。

 

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ジンジャーエールには「めずらしいジンジャーエール」と書かれている。なにが? メーカーは神戸居留地だった。

 

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「本当の甘酒です」おまえは山岡士郎か。

 

……と、まあここまでは自分の自販機で物を売りたいという「欲」で説明できるのだが、最後の最後に説明のつかない文章が出てくる。

 

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十万円に対する様々な角度からの執着。書いた人の価値観が全くわからない。

 

この自販機、実際安いのに買う気なくさせるオーラが圧倒的だ。見ていたらじっとりと汗をかいてた。まだ寒いのに。

ふしぎ指圧3周年イベント 4/17下北沢(締め切りました

(締め切りました)

 

だれがこんなに続くと思ったことでしょう。2016年の3月でふしぎ指圧は3周年になりました。とてもうれしいので3周年記念のイベントを行います。

 

ふしぎ指圧3周年イベント~ふしぎ指圧の失敗~

日時:4/17(日)18:00~20:00くらい

場所:下北沢BUSHITSU(下北沢駅から徒歩3分)

BUSHITSUシモキタザワ|下北沢の部室感覚コワーキングスペース

料金:1,000円くらいのつもりだけど未定(ピザか何か付けます)(赤字確定です)

参加資格:下北沢ふしぎ指圧に来たことある人か、斎藤の友達

 

雰囲気:小さなコワーキングスペースで、あんまりおしゃべりが上手じゃないライターがしゃべります。持ち込み自由なので、そのへんのコンビニでビール買ってきてだらだら飲みながら話を聞いてください。軽食用意しますが、なんかおつまみ持ってきてくれたらうれしいな。

 

内容:インターネットで大絶賛されている下北沢ふしぎ指圧。しかし本当にそんなにすばらしいものなのだろうか。本イベントではふしぎ指圧の代表である斎藤充博自らがふしぎ指圧の失敗について語る。あとライターの仕事がらみでインターネットに書けない失敗も語る。一人では話が持たないかもしれないのでゲストに来てもらおうかなって思ってもいますが、誰も来ないかもしれません。

 

 

 

 

池上彰が世界を解説した本を何冊も買ってしまう

池上彰が世界情勢を解説した本がいろいろあるのだが、もう10冊くらい買っている。読むたびに「わかりやすい!」と感動しているのがヤバい。わかりやすいのに、なにもわかっていない。

ちょっと前に居酒屋で一人で飲んでいたら、アメリカ人観光客と話すことになった。ちょうどその時に池上彰の本を読んでいたので「オバマケアについてどう思うか?」と聞いてみた。

オバマケアとは何か。今ではもうわからない。でも本を読んでいた時はわかった気になっていたし、現地の人と議論をしたいと思ったのだ。

池上彰、罪だなあ。

オウンドメディアはシャチホコかなんかなのだと思う

ライター仕事の中心になっているのは今はやりの「オウンドメディア」。ニフティの「デイリーポータルZ」や、ぐるなびの「みんなのごはん」なんかが代表だ。

 

オウンドメディアの仕事を人に説明すると、こんな質問をされる。

「なんでそんな儲からないことで原稿料が貰えるの? 雑誌みたいにだれかがお金を出すわけじゃないよね?」

たしかに、なんでこんなことやっているんだろう、企業は……。と今までずっと何年間も思っていたけど、最近だんだんわかってきたような気がする。

 

オウンドメディアというのは名古屋城にあるシャチホコみたいなものだと思えばいい。

 

シャチホコは何かの役に立つわけじゃない。みんなが人が見て「あんなもの作るなんてすごいなあ」とかんたんに納得できる。企業や商品に価値を持たせるブランディング、みたいな作戦とはまたちょっと違って、まろやかな示威行為みたいな感じだろう。大衆をなんとなくビビらすのだ。

 

シャチホコはもうける必要もない。シャチホコに変な広告が貼ってあったら「ああ、広告なんだな」ということになって「すごい」の方に意識が行かなくなってしまう。

 

(でも今は広告がたくさんついている方が「すごい」と思われやすいという、ちょっとヘンな倒錯した現状がある)

 

だからオウンドメディアは「すごい」ものを作った方が絶対にいい。

 

予算をかけられないのか、内容ゼロの「THE・無」みたいな物をたくさん更新しているところもよく見るけれども、それはシャチホコにはならない。田舎のおっちゃんが作っているセメント像だろう、それは。

 

予算やコストがかけられないということだったら、シャチホコを作るなんて考えない方がいい。「すごくない」というのがたくさんの人の目に触れても、単純にマイナスなんじゃないかと思う。

ビラ配りのバイト

またバイトの話を思い出したので書く。

専門学校時代に一番メインの収入にしていたのは、大宮駅前のコンタクトのビラ配りだ。時給1200円貰えた。

このビラ配りという行為、なかなか実らない宣伝である。14時から20時の6時間ビラを配って、渡せるのがだいたい100枚くらい。

この前提で計算すると、ビラ一枚渡すのに72円かかっている。高い。

ビラの配り方にはコツがある。一番効果があるのは、無償でなにかサンプル品を配っている人のすぐ後ろにつくことだ。サンプル品を受け取った後にサッとビラを渡されると、ついついみんな受け取ってしまう。このやり方をすれば普段の5倍くらいはハケる。サンプル品を配っている人には強烈に嫌われるが、知ったことでない。

「ビラ配りってサボれないの?」と聞かれることがある。
ビラ配りの監視役(本人はプロモーションコンサルタントとなのっていた)がいて、一日の間に複数の現場を見回りに来る。基本的にはサボれないのだが、ぼくはこの監視役のルーチーンを把握して、勤務時間中にマックでハンバーガーを食べたことがある。

サボっているはずなのに、いつもの100倍は張り詰めた。全然安らげなかった。ハンバーガーも急いで食べた。一気に飲んだアイス烏龍茶の冷たさは忘れられない。二度とやらなかった。

それでもこの仕事の不毛さに一矢報いた、と思った。

今でも駅前でコンタクトのビラを配っている人を見ると、あの時の気持ちがよみがえる。というか、時々大宮駅にビラ配りを見に行くことがある。

見ると「ああ……」という気持ちになる。いま僕はライターの仕事をたくさんするようになったけど、この「ああ……」うまく表せる言葉はまだ知らない。
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