十万円に思いをはせる自動販売機
散歩をしていたら「散歩をしていてよかった!」と心の底から思えるような自動販売機を見つけることができた。
なんとなく全景からも「いい」においが伝わってくると思う。詳細に見てみよう。
まず自販機自体にキャッチコピーがついているのがすごい。
「日本一の格安飲料」「安くて美味しいがトレンディー」……言葉のカラッポぶりはいいとして、全力で自分のところの自動販売機を肯定する姿勢に感動する。
実際に安い。それもそのはず、特価だから。「特価」「特価」「特価」「特価」「特価」……。文字なのに騒音を感じさせるという技術だ。
中央のペットボトルには手書きの文字で「良く売れる」と書いてある。このジュースがよく売れなさそうなのがたまらない。文字は丁寧に書かれている。
ジンジャーエールには「めずらしいジンジャーエール」と書かれている。なにが? メーカーは神戸居留地だった。
「本当の甘酒です」おまえは山岡士郎か。
……と、まあここまでは自分の自販機で物を売りたいという「欲」で説明できるのだが、最後の最後に説明のつかない文章が出てくる。
十万円に対する様々な角度からの執着。書いた人の価値観が全くわからない。
この自販機、実際安いのに買う気なくさせるオーラが圧倒的だ。見ていたらじっとりと汗をかいてた。まだ寒いのに。