『ヒルビリー・エレジー』がほぼ西原理恵子の世界だ
タイトルでいいたいとことはほとんど全て言ってしまった。
『ヒルビリー・エレジー』とは、アメリカの田舎に住んでいる白人の貧困層の生活ぶりを書いたエッセイである。
「ヒルビリー」とは「山の人」を意味する言葉。でも実際は「田舎者」みたいなニュアンスで使われる言葉なんだそうだ。この本は田舎から抜け出して高等教育を受けた人が一人称で語る、ヒルビリーの実態だ。
僕はアメリカなんて自由でみんなカラッとしているもんだと思っていたけれども、そんなことはない。異常なまでに身内に執着する。よそ者を排除する。働かない。貧困に陥る。すぐに結婚して離婚する。子どもは暴力におびえながら強く生きている。
これ、まるっきり西原理恵子のマンガの世界だ。『ぼくんち』とか『ゆんぼくん』とか、初期の高知の田舎の生活を叙情的に描いたやつ。あれに雰囲気がそっくりである。
田舎の生活なんて、どこもそんなに変わらないのかもしれない。ちょっと絶望的な気分になる。違うのは、銃が出てくるところくらいだろう。アメリカなので。