ふしぎブログ

指圧師・ライター斎藤充博の日記

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マッサージ周辺事情について

乳幼児への頸椎カイロ事故からインターネットでこの業界の事情が話題になっている。でも僕(あん摩マッサージ指圧師)から見るとちょっと不正確な記事も多い。

マッサージができるのは「あん摩マッサージ指圧師」だけ

法的にマッサージ行為ができるのは国家資格の「あん摩マッサージ指圧師」を持っている人、それから「医師」だけ。それ以外の人がするマッサージは全て「グレー」である。まずはここを抑えてほしい。

無資格者問題

  • 名称の如何に関わらず、マッサージを業とできる者は「医師」と「あん摩マッサージ指圧師」のみ(業務独占)であり、無免許でこれらの行為を業として行ったものは処罰の対象となる。

 

無資格者問題-あん摩マッサージ指圧師 - Wikipedia

 

でも実際はいろんな人がマッサージしているよね、ってことで一つ一つ解説していきます。

柔道整復師

町中にたくさんある「整骨院」や「接骨院」をやっているのが柔道整復師。意外かもしれないが柔道整復師は「あん摩マッサージ指圧師」ではないので、マッサージは基本的にはしてはいけない。

ただ、「柔道整復行為」のついでにマッサージをするというのはしょうがないですよ、ということになっている。

「柔道整復行為」というのは、骨折、脱臼、捻挫などを手術をしないで治療することだ。

つまり「肩こりが治らない人は当整骨院へ!」みたいな売り文句は明らかな法律違反ということになる。

 

厚生省のあん摩マッサージ指圧師とは違う柔道整復師のマッサージについての見解

(1)あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下法という)第一条に規定する行為の個々の具体的内容については法的に明確な規定がないが、 法第五条に規定するあん摩師及び柔道整復師の施術は、法第一条との関係の下に夫々あん摩師及び柔道整復師の個々の業務範囲におけるものと思料されますが、 柔道整復師が柔道整復行為を行うに際し、社会通念上、当然に柔道整復行為に附随すると見なされる程度のあん摩(指圧及びマッサージを含む)行為をなすこと は差支えないと解してよろしいか。
(2)柔道整復師が医師又は患者の要請等により、柔道整復の治療を完了して単にあん摩(指圧及びマッサージを含む)のみの治療を必要とする患者に対し、その行為のみを行うことは法第一条の規定に違反すると解してよろしいか。
【回答】
(1)・(2)の通り

昭和三二年九月一八日 医発第七九九号・山形県知事あて厚生省医務局長

 

 無資格者問題-あん摩マッサージ指圧師 - Wikipedia

 

実際には柔道整復師は肩こりでも慢性腰痛でも、マッサージをしてしまう。しかも、医療保険を用いてのマッサージだ。だいたい自己負担分が500円くらいで15分くらいのマッサージをやってくれる。

 

なんでそんなことができるのか、というとそれはズバリ「頸椎捻挫」などの症例を作って、その治療をしましたよ、という形で保険の請求をしているから。

保険者もバカではないので、ときどきこうした施術に対して「本当に頸椎捻挫だったのかよ」という調査をすることがある。

 

ちなみに、柔道整復師にとってマッサージは本来の仕事ではないので、養成学校でマッサージを一々習うことはしない。現場に入って先輩からマッサージを習う。

 

実際は柔道整復師もマッサージができないと食べていけないために、ここで上下関係の結びつきが非常に強くなる。体育会系といわれるゆえんだろう。

 

ただし、柔道整復師自体は身体の知識があるために、そんなに危険なマッサージはしない。法的にはグレーだが、受ける側からすると安全パイかもしれない。今すごくいっぱいあるし。

鍼灸師

意外かもしれないけれども、鍼灸師も「あんま指圧マッサージ師」ではないために、マッサージはしてはいけない。

 

ただ、「鍼灸師」と「あんま指圧マッサージ師」の資格をセットで持っている人は多い。こういう人のことを通称「あはき師」という。

ややこしいですね。

 

ただし、実情としては「鍼灸師」単独の資格でマッサージをしちゃっている人はたくさんいます。

 

ときどきガチガチに法律を守って「おれは鍼灸師だから鍼灸だけで治す!」みたいなひともいるけれども、そういうところに全然客はこないので、ものすごく貧乏だったりする。

あんまマッサージ指圧師

これが唯一ちゃんと法律的にマッサージをしても良いという資格。養成学校(日本の中でも数少ない)に3年通うことになる。

 

養成学校ではほとんどの場合「鍼灸師」の過程とセットになっている。

 

整理するとこんな感じ。

・「鍼灸師」だけが取れる専門学校→すごく多い

・「鍼灸師」と「あんまマッサージ指圧師」がセットで取れる学校→少ない

・「あんまマッサージ指圧師」だけが採れる学校→超少ない(健常者向けのは日本で2校だけ)

 

これは視覚障碍者の人の仕事を守る、という意味合いがある。

整体師

明確な定義はない。民間資格なのでわりとなんでもあり。メジャーな整体の学校だと半年から1年半くらいで卒業できる。

 

整体、というとボキボキやるイメージ強いと思うけれども、今どきあまりそういうことしない。中身は「マッサージ」+「ストレッチ」。だからやっぱりグレー。

 

業界では「あんまマッサージ指圧師の国家資格を持っていないけどマッサージをしている人」の総称として使われることもある。

 

たとえば求人に「学生OK!整体師OK!」みたいな書き方をすると「ああ、この治療院は資格なくてもやとってくれるんだな」というわけ。

カイロプラクターやオステオパシーなんかをやっている人も業界的には「整体師」です。国家資格じゃないから。

リラクゼーションセラピスト

これも明確な定義はないです。未経験でもだいたい数週間くらいの社内研修を経て現場に投入される。

 

グレーなんだけれども彼らの言い分としては「我々はリラクゼーションをやっているだけでマッサージではないです」というところ。温泉場でマッサージにかかろうとすると「あなたがこれから受ける施術はマッサージではありません」みたいな書類にサインを書かされたりする。

 

そうそう、よく求人なんかに「未経験OK!社内研修アリ!一生使える技術を身に付けよう!」みたいな売り文句でリラクゼーションの募集しているところあるけれども、罪な言い方だな、と思います。

その他

その他にもかわった療法をやっている人はたくさんいます。

皮膚を引っ張って調子の悪いところを直す「整膚」とか。

遠隔気功とか。これはインターネットで申し込んでお金を払うと、気功師が在宅で患者の家まで「気」を送ってくれる。すごいビジネスだなって感じですね。

 

乳幼児の頸椎カイロの人はすごく危険なことをやっているけれども、報道を見る限り本当に自分がやっていることが正しいって信じきっている感じ。

 

ああいうのちゃんと取り締まってほしいけれども、こんな風に色々あってごちゃごちゃしているから、なかなか難しい。

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