ふしぎブログ

指圧師・ライター斎藤充博の日記

餃子の羽

「羽根付き餃子」というものがある。

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「餃子の羽根」はべつにうまい物じゃない。どちらかというと餃子を食べるためには邪魔だと思う。そもそも、羽根は餃子についた打ち粉が、水に溶けて焼き上がった物だ。餃子を焼く課程でできあがってしまう不純物である。

 

要らない物にもかかわらず餃子屋では「羽根付き餃子」というメニューを出しているし、クックパッドでは「羽根付き餃子の作りかた」なんてレシピがある。みんな羽根をありがたがっている。よく考えるとおかしい。

 

そんな風に餃子の羽根に対しては否定的な気持ちがあったのだが、この間蒲田で羽根付きの餃子を食べてみて考えが変わった。あきらかに羽根があった方が、ありがたい気分になる。

 

この羽根がどうしてこんなにもありがたいのか、わからない。理由もなくただただ羽根がうれしいのだ。

 

そこでちょっと思ったんだけど、自分が作っているレポート記事も同じような物かもしれない。

 

ふつうに考えたらデータと事実だけで淡々と書いた方が読みやすいし、時間もかからない。ぼくが物を食べて「うまい!」とうれしそうにしている写真は、本来掲載する必要のないものだ。

 

でも、そういうのがあったほうがみんな読む。そういう不純物というか、余計な物みたいなのがみんなけっこう好きなのだ。

 

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いろいろ考えたのだけど、トータル的によい中華屋さん。

ふしぎ指圧3周年記念イベントをやりました

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ふしぎ指圧が3周年になるので記念の会をやってみた。ネットで参加者を公募したらお客さんが13人くらい来てくれた。場所は下北沢のコワーキングスペース。ピザだけ用意して、お酒は各自持ってきてもらう形式。

 

それだけだと何か間が持たなそうなので、パワーポイントでスライドプレゼンをした。まあ雑談である。

 

・いいゴミのコーナー

・ボロボロの標識最新情報

・ふしぎ指圧で良くならなかった事例

・お客さんが書いた斎藤を主人公にした××小説

・××××でまずかった店

・お客さんからの質問に答えるコーナー

 

お客さんとの距離が近くて、むりやり笑わせる感じもあったけど、意外と盛り上がった。ネットで全然書けないような話をしたのが良かったと思う。ネットがきれい事ばかりなので、そうじゃない部分をしゃべるだけでおもしろくなるのだ。

 

 

実はふしぎ指圧を続けるということに、今までそんなに執着はなかった。自分の持っているスキルと、とれるリスクと、帰ってくるリターンを計算して、この形の仕事が最適かな……という状態が、たんに3年続いただけ。

 

でも、この日にみんなから祝ってもらって、初めて「もっと続けていきたいな」と思った。

桜を見るなら目黒川より「黒目川」

東武東上線の電車から外を見てたら、河原にいい桜が咲いているのが見えた。おもわず下車してしまった。

 

この川は「黒目川」という。朝霞駅から徒歩5分くらいのところの川だ。都内の桜の名所「目黒川」の偽物みたいなネーミングで、なんだかおかしい。

 

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木が低いのがいい。桜の花が、ちょうどぼくの目の前まで来ていたりしている。そして道から川が近いのがいい。夏になったら子どもがチャプチャプやりそうな浅い川。

 

屋台もちょっと出ていて、たこ焼き食べて帰った。シート敷いている人もいたけど、そんなに多くない。ゆったりしている。

短歌はウェブの企画を考えるのに使える

心が弱っているときに読む2大「ひろし」があって、それは穂村弘森博嗣だ。穂村弘の短歌の解説本ももう何冊も読んでいて、同じ短歌の解説がが何度も出てくるのだけれど、読むと心がおちつく。

 

そんなわけで穂村弘の『ぼくの短歌ノート』を買ってしまった。

 

単純に短歌を鑑賞するのが好きなんだけれども、短歌モードは仕事にも使える。ウェブ記事のネタ出しだ。

 

短歌って短い文章の中に「共感」と「驚き」が入っていて、ウェブ企画にそのまんま使えるような物も多い。

 

たとえば石川啄木の有名な短歌で

 

ふるさとの訛なつかし

停車場の人ごみの中に

そを聴きにゆく

 

 

というのがある。これ、穂村弘は何回もいろんなところで「聴きにゆく」というところがすごい、ふつう懐かしくなっても聴きに行かない、といっているんだけど、本当にそうだと思う。

 

で、これってこのままデイリーポータルZの記事にもなりそうなのだ。「バス亭で待っている老人たちは何をしゃべっているのか」みたいな。ありそうでしょ。実際に飲食店でカップルの会話を盗み聞きする記事がある。

 

他にもこういうのもデイリーポータルZの記事になりそうだ。

 

動物園に行くたび思い深まれる鶴は怒りているにあらずや 

伊藤一彦

 

デイリーの記事だったら「怒っているように見える動物ランキング」かな。動物園に行って写真を撮りまくる記事。一位が鶴ね。実際に動物に怒るも何もなくて、自分の内面を重ね合わせているだけなので、自分語りの記事になるだろう。

 

そのまんまパクることはしないので、短歌のモチーフになっている要素を入れ替えるだけでも良い。(石川啄木とかだったらそのまんまパクっても怒られないと思うけど、ふしぎ)

 

もっというと、短歌を鑑賞ししたモードのままで企画を考えていると、いいのがたくさん出てくる。たぶん短歌を鑑賞すると心が強くなるのだろう。

 

 

十万円に思いをはせる自動販売機

散歩をしていたら「散歩をしていてよかった!」と心の底から思えるような自動販売機を見つけることができた。

 

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なんとなく全景からも「いい」においが伝わってくると思う。詳細に見てみよう。

 

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まず自販機自体にキャッチコピーがついているのがすごい。

「日本一の格安飲料」「安くて美味しいがトレンディー」……言葉のカラッポぶりはいいとして、全力で自分のところの自動販売機を肯定する姿勢に感動する。

 

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実際に安い。それもそのはず、特価だから。「特価」「特価」「特価」「特価」「特価」……。文字なのに騒音を感じさせるという技術だ。

 

中央のペットボトルには手書きの文字で「良く売れる」と書いてある。このジュースがよく売れなさそうなのがたまらない。文字は丁寧に書かれている。

 

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ジンジャーエールには「めずらしいジンジャーエール」と書かれている。なにが? メーカーは神戸居留地だった。

 

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「本当の甘酒です」おまえは山岡士郎か。

 

……と、まあここまでは自分の自販機で物を売りたいという「欲」で説明できるのだが、最後の最後に説明のつかない文章が出てくる。

 

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十万円に対する様々な角度からの執着。書いた人の価値観が全くわからない。

 

この自販機、実際安いのに買う気なくさせるオーラが圧倒的だ。見ていたらじっとりと汗をかいてた。まだ寒いのに。

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